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【異体字】小石川植物園の看板の文字

先日訪れた小石川植物園の看板の文字。

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よく見ると、東京大学が「東亰大學」となっているだけではなく、

小石川の「石」の字も「䂖」という異体字になっています。

植物園の「植」の「直」の部分も独特な形状をしており、

上の「十」の部分が「亠」になっているし、下の「└」である部分が「┴」となっているように見えます。

これはさぞかし昔に作られた看板なのかと思いきや、

二〇一二年告示と表示があるので、結構最近設置されたもののようです。

じゃあこの書体はどこから来たのかと、少し調べました。

素敵な書体なので(いわゆる隷書体に近く思えます)、出自が気になってしまったのです。

すると、この小石川植物園の看板の文字に近いものが見つかりました。

小䂖川植物園草木啚説(小石川植物園草木図説)』という明治時代に作られた図鑑の題字です。

23.png
※明治時代の書籍で、著作権が切れているので画像を貼らせていただきました。上のリンクから全ページ無料で閲覧可能です。

図鑑の題字の「圖(図)」の文字も囗(くにがまえ)のない「啚」で異体字です。

この題字と現在の看板の文字はそっくりなので、多分この時代から伝統のロゴデザインなのでしょうね。

看板の文字は、明治時代は異体字が自由に、盛んに使われていたことを今に伝えてくれていたのでした。

こういうのは本当面白くて好きです😊

同じ字がいろんな形をしていると、不都合や紛らわしいことはそりゃたくさんあるでしょうけど、

各々が好きな字を選んで使うことができるのは自由で良いなぁ、小説家には雰囲気を出すのにいろんな字を使えたほうが便利だったのではないかなぁなどと、想像しました。

フォントを作成する身としては、少しだけ違う同じ意味の異体字を何個も作りたくないけどね!😇

今は異体字はほとんど使われない代わりに、様々な書体を楽しむことができて、それはまたそれで幸せだな〜と思いました。
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